南会津 高倉山(1307.5m)横山(1378.8m)立岩山(1095.1m) 2013年3月16日

所要時間 6:12 駐車余地−−6:27 巡視路入口(尾根取付)−−7:14 送電鉄塔−−8:23 高倉山(休憩) 8:36−−10:17 横山(休憩) 10:44−−11:01 1353m峰−−11:52 立岩山分岐−−12:08 立岩山(休憩) 12:26−−12:58 950m肩(スノーシュー装着)−−13:04 桑取火集落(スノーシュー脱ぐ) 13:08−−13:26 駐車余地

場所福島県南会津郡下郷町
年月日2013年3月16日 残雪期日帰り
天候
山行種類残雪期の藪山
交通手段マイカー
駐車場県道路側あちこちにあり
登山道の有無たぶん無し
籔の有無残雪期は無し。無雪期は不明だが神籠ヶ岳は激藪だったので横山付近も藪と思われる
危険個所の有無立岩山の下りで1個所だけあり(急斜面、露岩)
山頂の展望雪庇上は概ね良好。標高1353m峰は特に展望良好
コメント・三ツ井集落を起点に桑取火沢源流山脈を反時計回りに周回
・高倉山は740m標高点のある尾根を利用。途中に送電鉄塔があるが、巡視路は尾根上にはない。ただし、尾根は赤松だったり落葉広葉樹林で藪無しで雪が無くても問題なし。高倉山山頂直下の急な尾根で笹藪があるが左に迂回可能。山頂は雪庇に覆われ、東から北の展望良好。平成8年のMWV標識あり
・高倉山〜横山は雪の稜線を歩く。この日は雪が締まってつぼ足で快適に歩けた。1305m峰付近は一部地面が出ていたが笹は薄かった。ゴミがあったので入山者がいるようだ。1304m峰、1313.0m三角点峰は西側を巻いた。横山山頂部の平たい尾根に乗ると北側の展望が開ける箇所が多くなる。横山の三角点は雪の下で確認不能。山頂標識無し
・横山〜立岩山間は後半は地形がはっきりしない尾根が続くので、視界が制限された気象条件だとかなり厳しいと思う。今回は快晴で先が見えたため迷うことは無かった。1353m峰は巨大な雪庇が発達し、今回のルートの中で一番の展望地。立岩山のある尾根分岐点には長い赤布あり。なお、尾根上には他に目印は見かけなかった。立岩山は落葉時に囲まれて展望いまいち
・立岩山は南東尾根を下った。標高1000m付近は露岩混じりの急な尾根だが危険はない。標高950m肩で左に分岐する尾根に乗ったが、ここから杉植林で雪質が悪化したためスノーシュー装着。予定した尾根末端より一つ北側の尾根で桑取火集落最上部の除雪終点へ出た。ここまで尾根上はずっと雪に覆われていた。




沢口集落西側の戸石川にかかる橋付近に駐車 桑取火集落への入口
桑取火集落はカタクリの花が名物らしい 沢口集落から見上げる高倉山
県道に設置された温度計 高倉山南尾根西側の沢
南尾根入口の林道。巡視路兼用 巡視路標識。2本の鉄塔兼用らしい
沢沿いの林道をちょっとだけ登る 巡視路はここで尾根に乗ると思ったら間違いだった
標高770m付近 標高810m付近。送電鉄塔が見えてきた
標高870mで送電鉄塔登場
送電鉄塔下から見た那須連山
標高950m付近 標高1050m付近。このまま残雪が続くと思ったらそうでもない
標高1110m付近の小さな肩直下 標高1110m付近の小さな肩の上。尾根直上は雪が無い
尾根上には点々とこんなペイントあり(標高1160m付近) 標高1250m肩直下急傾斜区間で笹藪登場
笹藪を避けて尾根を離れて左(西)に巻く 西斜面は雪が覆っている
標高1290mで尾根上に復帰。巨大雪庇の上 高倉山山頂
高倉山山頂のMWV標識 高倉山山頂の標識その2
高倉山山頂から見た磐梯山 高倉山山頂から見た飯豊山
高倉山山頂から見た中山集落
標高1290m肩から見た男鹿山塊
高倉山山頂から見た北半分の展望(クリックで拡大)
高倉山から北西へ進む。気持ちのいい稜線 地面が出ている場所も。籔は薄い
横山と神籠ヶ岳
こんなゴミが。紙が腐ってないので最近のもの 1305m峰先の鞍部
でかい雪庇が1304m峰。西側を巻いた 巻き終わって尾根に戻る
,
1313.0m三角点峰も西を巻いた 巻いている途中
三角点峰西尾根を越える 三角点峰北斜面に回り込む
1240m鞍部から横山の登りにかかる 熊が木登りした爪跡
1370m峰東端直下 1370m峰東端から見た会津盆地
1370m峰東端から見た神籠ヶ岳
1370m峰雪庇上から見た北側の展望。奥の白い山は飯豊山(クリックで拡大)
1370m峰雪庇上から見た飯豊山(クリックで拡大)
博士山。無雪期に登ったことがある 横山山頂。山頂標識無し
横山山頂から見た1350m峰と1353m峰(奥) 高倉山
1353m峰から見た会津駒ヶ岳〜守門岳(クリックで拡大)
1353m峰から見た奥日光、尾瀬(クリックで拡大)
1353m峰から見た那須〜男鹿山塊(クリックで拡大)
1353m峰から見た男鹿山塊
標高1300m付近。籔は薄いかも 標高1300m付近は尾根右側を巻く
下ってきた尾根を振り返る 標高1200m付近。やっぱ笹は薄そう
標高1180m付近。特徴に乏しい地形が続く 立岩山のある尾根分岐の赤布
尾根が明瞭化する 1070m鞍部から登り返す
立岩山北側から見た高倉山〜横山の山並み
立岩山山頂。全く岩は無い
南東尾根を下り始める 標高1010m付近が露岩混じりの急な下り
下ってきた急斜面を見上げる 標高980mで平坦な尾根に変わる
標高930mで東に分岐する尾根に入る。杉植林が始まる 標高850m付近
標高770m付近 間もなく集落
桑取火集落最上部 除雪終点の広場に出た
舗装道路を下る 本当はここに出る予定だった。観音堂あり
カタクリ群生地の案内 ゴール


 下郷町北部に神籠ヶ岳という1等三角点の山があり、数年前の残雪期に登っているが少し西側の横山は登っていない。無雪期の神籠ヶ岳周辺は激笹藪で残雪期に登るのが適当だったが、標高も場所も近い横山も同じような植生が予想され、残雪期に登るのがいいと思われる。先週の旧会津田島から少しだけ北上した場所なので雪はまだあるはずだ。また、先週と違って気温は平年並みまで落ちているので雪の締りも期待できる。今の時期は北斜面より南斜面の方が雪の締まっている確率が高いので、南側の沢口集落から登ることにした。地図を見ると近くに高倉山と立岩山があり、ループを組めるのも選択の理由だった。うまくいけば西にある大滝山まで足を延ばすことも考えて、反時計回りとした。

 東北道白河ICで降りて甲子トンネルで下郷町へ。少し西に進むと目的地だ。集落西端の橋の近くに除雪された駐車余地があり、そこに置かせてもらう。県道を東に歩いて740m標高点のある尾根末端に到着、路上には温度表示があり、-5℃から-4℃に変わったばかりだった。林道があり送電線巡視路の標識も立っていた。尾根の途中には送電線が通っているのでそこまで道があるのは違いないが、尾根上に道があるのかは分からない。

 少しだけ林道を辿って右に入る踏跡らしき場所に巡視路標識が倒れていて、そこから尾根に乗る。最初から残雪で道の付き方は不明だが、このまま尾根を登れば高倉山なので気にせずに登っていく。雪質は最高で登山靴のままでほとんど沈まない。今日は先週の経験でスノーシューを担いできたが、麓でこれだと気温が低い標高が高い場所はもっと雪の状態はいいかもしれない。しかし、南向きの尾根で尾根直上西側の雪解けは早く地面が出ていたのでほとんどそこを歩いた。巡視路は尾根上にあるかと思いきや、それらしき道形は見当たらない。しかし尾根上の植生は下部は赤松樹林、標高が上がると落葉広葉樹林で藪は無く適当に歩ける。

 標高870mで送電鉄塔が登場、巡視路は西側斜面から上がっており、西側の尾根上にある送電鉄塔との間で巡視路があるようだ。たぶんその分岐までは谷に沿って登っているのだろう。ただ、この標高でもまだ尾根上に藪は無く、無雪期でも巡視路を使う必要性は無いだろう。鉄塔の場所だけ樹林が開けて展望がいい。振り向けば那須から男鹿山塊の山波。先週登った黒滝股山は周囲と比較して標高が低いのでどこだか判別できなかった。

 明るい落葉樹林の尾根が続き、傾斜が緩むと残雪が増えたりするが長続きせず、かなりの区間は地面上を歩いた。標高が上がると尾根の東側に雪庇が登場するが、尾根西側には雪がなかったりしてちぐはぐな風景だ。藪が登場するのは標高1290m肩直下の急な登りで、今まで全く見かけなかった笹が尾根上を覆っている。背が低くて低密度ならそのまま突っ切るが、見るからに本格的な藪なので左に迂回することにする。笹と地面の境界をトラバース気味に登っていくと雪原に入って藪とはおさらば。この下は笹藪なのか藪は無いのか分からないが、感じとしては肩の付近のみ笹藪のように思えた。

 稜線に乗ると雄大な雪庇に乗り、東側の展望が開ける。雪庇もよく締まって全く沈まず歩きも快適だ。ほどなく高倉山山頂に到着。最高点は尾根の屈曲点で東から北にかけて雪庇が発達し、その部分は立ち木がなく展望がいい。西側の立ち木の高い部分に2つの山頂標識があり、片方は文字がほとんど消えたMWV標識。でも文字の形跡は残っていて、設置年月は平成8年9月とのこと。私が見たMWV標識の中では飛びぬけて新しい。だいたい、昭和の年代のものしか見たことがないような。平成に入っても活動していたのか。でももう20年近く前の話だなぁ。北側の展望が開けて白い会津盆地と、その奥には三角形の磐梯山に左側には真っ白な飯豊。そうか、会津盆地の向こう側はもう飯豊なんだぁ。写真を撮影し、MWV標識に落書きして出発。

 横山にかけての稜線は、途中の1313m峰のアップダウン以外は概ね平坦で楽しんで歩ける。立木は軒並みブナで雪国らしい風景になる。稜線右側(北や東)は雪庇、稜線左側はかなり雪が薄く地面が出ているところさえある。そこには薄い笹があるが藪漕ぎのレベルではなく、高倉山山頂付近なら無雪期でも歩けそうだ。途中、ごみが落ちているのが目に入り見てみると、ペットボトルにチョコレートの箱だった。箱の紙はまだ腐っていなかったので、昨年秋かこの冬に入った人のものだろう。

 1304m峰は面倒なので西側を巻いた。尾根が北向きになると地面が出ている部分は無くなり一面の銀世界。僅かに下って1313m峰も巻くことにして登りにかかったところで左にトラバース。しかし傾斜が緩い代わりに迂回距離が長く、巻くよりも尾根上を行った方が楽ではないかと思えるようになり、途中で高度を上げて西に延びる大きな尾根を超える。ここからはピークに向かわずトラバースしたまま1240m鞍部に向かった。北側斜面に入り雪が緩むかと思ったがそうでもなく、新雪の吹き溜まりのラッセルの方が登場した。昨夜、下界では朝には消えてしまったほどの少々の雪が降ったが、山の上では1cm程度積もっていた。軽い雪なので吹き溜まりに突っ込まない限りは足の重さはない。

 鞍部よりブナに覆われた広い斜面を登り返す。平坦な稜線に出ると横山の山頂の一角といってもいいが、ここは東の端で真の山頂である西端までしばし歩く必要がある。この稜線は南側に雪庇が発達し展望が開ける。会津駒ヶ岳から丸山岳の真っ白な稜線も見られた。あそこを歩いたのは何年前だったかなぁ。平坦な尾根を歩き、下りが始まる手前の肩の部分が地形図上の横山山頂だった。ブナが立ち並んでいるが、どの幹にも山頂標識はなかった。高倉山にあったのでこちらにもあるかと思ったら拍子抜けだ。三角点は1,2mの雪の下のはずで確認する術はない。ブナの陰で風を避けながら休憩。風はあるが日差しが温かいので大助かりだ。

 次の行先は大滝山にするか立岩山にするか悩むところだが、日中で気温が上がり雪が緩んできたし、この分だと大滝山往復だけで3時間くらいかかりそうで、下山は夕方になりそうだ。どうせ明日も丸1日時間が使えるので明日予定している三引山と合わせて大滝山に登ることにして、今日はパスしよう。そうすれば明日も気温が低い時間帯に歩くことができ、今日やるよりも楽ができるはずだ。

 横山山頂を後にしてすぐに1350m峰。次の1353m峰は顕著に尖ったピークで山頂付近は立木が見えず本日のコースの中で最大の展望地だった。この下りは稜線上は雪が落ち気味で少々笹が出ていたので北側を迂回してから尾根に戻った。尾根の傾斜が消えて平坦になると地面は見えなくなり残雪一色となった。この先は明瞭な尾根地形ではなくだらっとした特徴の無い地形で、今日は好天で周囲はブナ林で先が見えるからルート判断が楽だが、ガスった中を歩くときは方位磁石と地形図が必須だろう。

 この付近は明瞭なピークはないが、1172m峰の下りは標高差があるのでここで現在位置が特定しやすい。下った先の平坦地が立岩山へ続く尾根の入口で、長い赤布が木に縛り付けられていた。そういえば今日歩いたルート上は立木に赤ペイントされているのは見たが、目印のテープや赤布には気付かなかった。たぶんこの赤布を設置した人も私と同様に立岩山経由で下るために目印を置いたのだろう。

 尾根がその先に続くのか不安なのは最初だけで、すぐに細くて明瞭な尾根に乗ることができた。行く先には大きなピーク。立岩山に違いない。ここは雪が割れて地面が出ている部分があったが、やはり藪は無いようだった。立岩山手前の雪庇で東の展望が開け、高倉山から横山の稜線を見ることができた。

 立岩山は露岩の山かと思ったら山頂部はなだらかで落葉樹林に覆われた穏やかな山だった。目印等は皆無、三角点も雪の下だが明瞭なピークでここが山頂に間違いない。しばし休憩。

 さあ、下山だ。地形図を見て少し心配だったのが、立岩山の下りで使う尾根の途中で等高線が込み合った場所があることだ。どの程度の危険があるのか予測不能、ここで岩でも出てきたら通過できるか不安はあるが、今まで歩いてきた稜線で露岩は出てこなかったので大丈夫か。いざという時のためのピッケルに12本爪アイゼンだ、どうにかなるだろう。どうしても下れなければ適当な斜面で桑取火沢に下ってしまってもいいだろう。沢沿いに林道があるはずなので、それが利用できる。

 山頂からしばしは何の変哲もない尾根で淡々と下っていくが、標高1030m付近で傾斜がきつくなり、小さめの露岩が現れて雪が割れた部分が多くなる。でも切り立った崖ではなく普通に下れる程度の斜度であり一安心。ただ、南向きで斜度がきついので周囲より雪が少なく、日中で気温が上がって雪が腐り膝まで潜る。この場面ではこの方がかつらくしなくて助かるが。できるだけ斜度が緩く雪の段差がないところを選んでジグザグに下り、下部の穏やかな尾根に降り立った。振り返るとかなりの角度で立ち上がる尾根で、今の雪質でここを登るのは骨が折れるだろう。

 これ以降は露岩や急斜面が現れることはなく、淡々と尾根を辿って下っていく。ただ、尾根をどこまでも直進すると桑取火集落南側の谷に出てしまうので、まじめに地図を読んで集落に到着するように歩くことにした。別に谷に降りても地形はなだらかだし、破線もあるのでたぶん問題はないと思うが。

 標高930m肩で左手に杉植林が登場し、尾根がそちらに分岐している。地形図の表記と同一でこれを下れば集落に出るはずだ。杉植林に足を踏み入れるとコンスタントに膝まで踏み抜くようになり、里まで残り少ないはずだがここまで担いできたスノーシューを装着。踏み抜きはなくなって格段に歩きやすくなった。

 以降はほぼ杉植林が続き花粉症患者にっとっては気持ちのいいものではないが、山の中の杉は平坦地のものと違って花が少ないし、まだ雪が残るくらいだから花粉の最盛期ではないようで、杉植林のまっただ中を歩いてもアレルギー症状は出なかった。尾根は末端に近いので微妙に分岐するが、主尾根らしい一番太いものを追っていく。ここで油断してしまい、地形図を見ないで「有視界飛行」してしまったため、予定の尾根より1本北側の尾根に乗り、集落最上部の除雪終点に出た。ここでスノーシューを脱ぐ。

 除雪された舗装道路をテクテク歩いていくと、下山予定の尾根末端を通過、観音堂?があるのでいい目印になる。もしかしたら無雪期ならここから踏跡があるかも? 集落下部には回っていない水車小屋があり、谷の上部はカタクリの群生地があるらしいが、今は1m以上の雪の下だろう。春が訪れるまであと1か月くらいか?

 桑取火沢沿いの車道を下って県道に合流、駐車余地まで僅かだ。着替えを済ませ、しばし昼寝。今日も1日いい天気に恵まれてよかった。

 

 

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